汚れアイ 18

1/1
184人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ

汚れアイ 18

18 明け方近く、燕さんはやっぱりうなされた。 だけど、汗をかきながら、飛び起きる事はなかった。 ゆっくり目を開いて、腕に俺を抱き明け方から セックスをした。 何度も何度も俺の中をいっぱいにして、小さな声で呟いた。 「孕めばいいのに…」 俺はその時初めて、自分が男である事を悔しいと感じた。 燕さんは、温かい家庭に憧れた冷たい感情を背負わされた被害者。 俺と何も変わらない。 重なる感情。 朝食を頼んで、二人、ベッドで食事した。 「次は天馬の話を聞かないとな」 あったかい焼き立てのパンにバターを塗りながら呟く燕さん。 俺は俯いてパンを齧った。 クシャッと髪を撫でられる。 「話すのが嫌か?だったら俺は何も聞かないよ。」 優しくそう呟くと、また寂しい顔が見える気がして、俺は彼の腕を掴んだ。 ビックリした顔をする燕さんは、クスっと笑い、黙ってコーヒーを口にした。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!