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汚れアイ 18
18
明け方近く、燕さんはやっぱりうなされた。
だけど、汗をかきながら、飛び起きる事はなかった。
ゆっくり目を開いて、腕に俺を抱き明け方から
セックスをした。
何度も何度も俺の中をいっぱいにして、小さな声で呟いた。
「孕めばいいのに…」
俺はその時初めて、自分が男である事を悔しいと感じた。
燕さんは、温かい家庭に憧れた冷たい感情を背負わされた被害者。
俺と何も変わらない。
重なる感情。
朝食を頼んで、二人、ベッドで食事した。
「次は天馬の話を聞かないとな」
あったかい焼き立てのパンにバターを塗りながら呟く燕さん。
俺は俯いてパンを齧った。
クシャッと髪を撫でられる。
「話すのが嫌か?だったら俺は何も聞かないよ。」
優しくそう呟くと、また寂しい顔が見える気がして、俺は彼の腕を掴んだ。
ビックリした顔をする燕さんは、クスっと笑い、黙ってコーヒーを口にした。
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