汚れアイ 21

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汚れアイ 21

21 俺は広いバルコニーに出た。 「さっむぅー!!」 後ろから彼がついてくる。 俺はクルッと振り返りニッコリ笑った。 「俺…さくら荘…嫌いじゃないんだ…。」 「天…」 「雨降ったら湿気で畳が一階に落ちそうだし…風がきつい日は流しの上の窓がガタガタ鳴りっぱなしだし…」 燕さんはゆっくり俺を抱きしめて、髪に口づけた。 「天馬…俺を泣かせたいのか?」 「え?」 「良い返事だけが欲しいんだ。おまえに関しては…特に歯止めが効きそうに無い。」 「選び放題のくせに…」 「俺は一途だぜ?」 「ハハ…嘘っぽい」 "絶対"なんてない事を知っている二人が… お互いを汚い手で探り合う。 「首輪でもつけるか?」 栗色の髪の隙間から見える瞳を見上げる。 それから、一息吸って言葉を紡いだ。 「俺は…燕さんを…誰にも渡したくないと思ってる。…あんたが俺を裏切ろうとしたら、俺…あんたを殺しちゃうかも知れないよ?」 燕さんは驚いた顔をする。 こんな事言われたら、きっと不安だろ?怖いじゃん。だからきっと、笑い話をしながら俺を送り返すに決まってる。 だってそうしないと… マジで怖い。 今この温かい手が、いつか俺以外を抱くなんて… きっと本当に ……許せないから。
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