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「どうだい?」
「素敵よ。どこから見ても吸血鬼だわ。わたしの知っているドラキュラ伯爵そのままだわ!」
「それは良かった」
「で、わたしは、どうかしら?」
「うん、君も古の魔女、マリ・ダスピルクエットと見紛うばかりだよ」
「そう言ってもらえて嬉しいわ。かぼちゃのランタンは?」
「ジャック・オー・ランタンだね。小型のだけど二人分用意したよ。ぶら提げて歩こうかね。気分が出るだろうからさ」
「そうね。それは良いアイディアね」
「それとさ、最近手に入れた、腐った卵の臭いスプレーもあるんだ」
「えっ…… それはさすがにちょっと……」
「大丈夫、そんなに長くは持続しないから」
「……なら、良いわ」
「これで準備は万端だ。じゃあ、行こうか……」
「そうね…… 今は魔物だらけの世界になっちゃって、ちょっと外に出るだけで、これだけの事をしなくちゃならないのね……」
「まだおれたちは良い方だ。地下室に隠れていられるんだからね。大概は見つかって食われちまった」
「そうだけど……」
「まあ仕方ないさ。人類は魔物との戦いに敗れたんだから。人だって気づかれたらおしまいだからね……」
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