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手術台に横たわったままの幸助。
その小さな頭を優しく撫でながら、佳代子は人目も憚らず大声で泣いた。
瞼を閉じたままの幸助には、それが嬉しい涙なのか悲しみの涙なのか分からない。
「幸助…… 」
佳代子は息子の名前を小さな声で呼び、周りにいる医師や看護師はそれを見守っている。
『ママのことちゃんと見てるよ』
声が聞こえた気がした。
頭を撫でながら見ていた小さな瞼から、目線を口元へと下す。
「幸助…… 」
絵本の天使を遥かに超える笑顔を見せていた。
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