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「涼風ちゃんが目覚めたと聞いて、早速やって参りましたー!!」
突然の登場に驚いたのか蓮の隣にいる彼女――涼風は隠れるようにくっついてきた。 病院だというのに、まるで学校のように挨拶しながら入ってきたのは蓮の友人の嵐である。
先程嵐に連絡を入れたのは蓮のため、やってくること自体に驚きはない。
―――もう来たのか。
―――本当に突然だなー・・・。
ただ少しばかり常識はずれな言動に病室内は白けているムードだ。 なのに嵐は特に気にした様子はない。
「って、ん? あれ?」
蓮の隣にいる涼風を見て嵐は困惑している。 涼風が目覚めたと聞いてやってきたのだから自然なことだ。
「涼風ちゃんもう歩いているけど、どういうこと?」
「あー・・・」
「それにどうしてそんなにくっついて・・・」
―――涼風が目覚めたら連絡してほしいとだけ聞いていたから連絡した。
―――入れ替わっている前提で、心泉さんの姿をしている涼風が目覚めたから連絡をしたけど・・・。
―――二人が入れ替わっていることを嵐は知らないんだよな。
―――ここは素直に言うべきか?
蓮は嵐が涼風のことを好きだということで恋愛相談を受けていた。 元々蓮と涼風が幼馴染だということで敵視されていたが、蓮は涼風のことを寧ろ好ましく思っていなかったため恋愛相談に乗ったのだ。
それをきっかけに友達となったという過去がある。
―――流石に偽れないよな。
―――まさか連絡してすぐに来るとは思ってもみなかった。
涼風と仲がいいところを見せればまた昔みたいに険悪になってしまうのかもしれない。 どうせ隠しているのは無理なのだから、ここで説明するべきだろうと考えた。
「えっとー、何から説明をすればいいのやら・・・」
「私が話すよ」
「私? え? 涼風ちゃん、一人称変わった!?」
迷っていると涼風の外見になった心泉が話し出した。 早速嵐は混乱している。
「信じられないかもしれないけど、落雷の影響で涼風ちゃんと心泉の精神が入れ替わってしまったの」
「はい!?」
「だから今ベッドで寝ているのが私の見た目をした涼風ちゃんということになります」
「そ、そうなのか・・・?」
嵐は二人を交互に見て予想通り困惑している。
―――予め伝えてもよかったけど、実際に現場に連れてきた方が分かりやすくてよかったのかもな。
―――俺が説明すれば騙しているのかと思われそうだけど、二人のどちらかが説明すれば信じるだろうし。
―――特に嵐の好きな涼風なら。
嵐と涼風は同じ高校だ。 元々中学は蓮と嵐と涼風が一緒で、その頃から嵐は涼風のことが好きだったらしい。
「いきなりで信じられないよね。 私たち自身も信じられないくらいだから」
蓮の隣の彼女が言う。
「・・・あ、えぇと。 いや、信じるよ。 うん。 信じる信じる」
動揺は隠せないといった様子だが嵐は信じてくれたようだ。
―――本当にそれで信じているのか?
―――まぁ最初は素直に受け入れられないだろうけど。
そして蓮としては一つ伝えておかないといけないことがあった。
「嵐。 俺は心泉さんのことが好きなのは話していたよな?」
「あ、あぁ」
「外見は入れ替わってしまったけど、心泉さんに告白して付き合うことになったんだ」
「へぇ・・・。 って、ええぇぇぇ!?!?」
嵐はチラチラと二人の間で視線を移動させている。 蓮と涼風の容姿をした心泉が腕を組んでいるため納得したようだった。
「そ、そういうことか。 だから二人は仲がよさそうだったのか・・・」
「アピールするつもりはなかったんだけど。 気を悪くさせたなら悪い」
「あぁ、いや・・・。 それでベッドの子が心泉ちゃんに見えるけど、涼風ちゃんなんだよね?」
「うん。 そういうことになるのかな?」
ベッドの上にいる彼女は切なそうに小さく笑いながら言った。 その様子を見て嵐は考える素振りを見せる。
「・・・ちょっと二人きりで話したいことがあるんだけど、蓮を借りてもいいか?」
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