君が待つから

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君が待つから

 仕事終わりに居酒屋へ寄るなんて何年振りだろうか。普段は劇団の稽古に参加するか直帰するかの二択で酒を飲むのすら久しぶりだ。  指定された店に入り、辺りを見回せば奥の座席に白田と杉本先輩はいた。 「星谷!」 「杉本先輩、お久しぶりです」 「俺もいるんだけど」 「はいはい久しぶりだなだーしろ」 「うわ久々に聞いたわその呼び名」  大学でひとつ上だった杉本先輩と同期の白田とは演劇部で出会った。当時は3人とも熱心に活動をしていたが杉本先輩は大学卒業と同時に、白田は結婚を機に演劇をやめてしまい、まだやっているのは自分だけ。  ふたりとも公演のお知らせをすればチケットを買って観に来てくれる。ありがたい存在だ。 「この前のやつ観たぞ、やっぱお前すげえわ」 「おおありがとな。こっちもふたりが買ってくれたから助かったわ」 「いやー久々に俺もやりたくなったわ。百合子も久々に観たからか今日あっさり送り出してくれたし」 「相変わらず尻に敷かれてんだな」 「うるせーよ」  ぐいっとハイボールを煽るように飲んだ白田は溜まっていたストレスを吐き出すように大きく息を吐いた。
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