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プロローグ
この世には普通の人と『特殊な能力者』の人がいる。
どの御代で生まれるか定かではないが、色々な能力を持っている通称『異能者』にとって何としても手に入れたいのが通称『運命の花嫁』だった。
花嫁とは、普通の人間なのである。
しかし、生まれた瞬間から発するフェロモンは、雄のアドレナリンを高揚させる媚薬。その甘美なまでのフェロモンに誘われ、見事『つがい』と成れたなら、そのフェロモンは花嫁を介して自分の能力エネルギーに変換される。実質上この世の能力者の頂点に立てるのだ。
花嫁はいつどこに誕生するかは分からない。
花嫁が生まれた国の能力者の雄にのみ、つがいとなれる権利が与えられる。したがって、その国の人種の血が混ざっていればよい。
そして花嫁が十六歳になった時、『成人の儀』が行われ、それが争奪戦開始の合図となる。
能力者異種争奪戦『縁定めの儀』
能力を問わず異能者と呼ばれるもの全てによる、花嫁争奪戦。しかし実際は、能力の高い者しか参加ができない。なぜなら〝生き残れない〟からである。
近年、一度だけ花嫁が生まれた形跡はあった。しかしそのフェロモンはすぐに『消えた』のだ。いままであり得ない事である。
異能者は口々に「出生後すぐに死んだか」と噂していた。
それから十六年。生きていれば今年『成人の儀』が行われるはずである。望みを捨てていない者は動き出していた。『縁定めの儀』に向けて。
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