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「ある日、新参者だった儂はご当主である吉志様に呼ばれた。最初は生きた心地がしなかったが……。お部屋に案内され、言われたのか『召喚したいのだ。力を貸して欲しい』と。それが古の化猫だった」
「化猫? 葉月のこと?」
その場の者が思い当たるのは、今のところ葉月しかいない。
琥珀の疑問に、皆賛同していた。
錦老師は「葉月とな?」と不思議な顔をする。
琥珀は自分の傍で欠伸をしている黒猫を指した。
「一応、葉月は私の式神ですが……化猫だと思います。でもそんな凄いモノなのでしょうか」
錦老師は葉月をじーっと眺める。
葉月は一言『にゃーん』と鳴いた。
「貴殿は何故故に……そのお姿なのですか?」
《そうか、おぬしはあの時の若造か。それなら仕方あるまいな……語るとよい。そう──機は熟した》
そう告げ、高台へ飛び乗るとニヤリと笑う。
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