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「あの時は、吉志様の求めに化猫は応じなかった。儂が化猫を見たのはあの時が最後だと思っておったが……あの後、今一度お目にかかったんじゃ。それが、吉志様が京穏香と式神戦で手合わせした時じゃった」
「曽祖父が葉月を……いえ、その化猫を使役していたという事ですか?」
由良が話の流れから推測する。
「違う。化猫を呼び出したのは吉志様ではない。京穏香の方じゃ」
そこまで言い、思い出したかのように、顔を上げ葉月を見る。
「確かに呼び出したのは、京穏香の方じゃった。儂はビックリして慌てて吉志様に目を遣ると……あの御方は笑っておられた」
そこまで話し、目を細めると錦老師は葉月を見る。
「これも何かの縁。その謎解きをしてはくれぬか? 化猫殿」
錦老師は、そう葉月に懇願した。
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