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神楽の瞳の色が変わっていく。
その状況をただ一人、楓は参戦することも制止することなく後方で静観していた。
その変化に何かを読み取りたかった意図がある。
そして小さな変化を見逃さない。
──……バシンッ!!
微細なスパーク音がどこからともなく弾けた。
気づいた者は楓ぐらいであろう。
それと……その瞬間、神楽も顔を上げ我に返る。
一瞬にして瞳の色がブラウンアイへと戻った。
「いや、今日は止めておきます」
神楽のその声色には、今まで発していた殺気などはなくなっていた。
いつもの飄々とした雰囲気を取り戻したかのように、笑みを浮かべる。
冷たい瞳はそのままで辺りを見回し、小さく溜息をついた。
何故急に態度が変わったのか?
何が起こったのか、その場の他の者には全く理解できず困惑を隠せない。
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