それを静かに聞く者

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 そんなことは一向に構うことなく、神楽は踵を返す。 「オリエンテーションというものも、この程度参加したのだからもういいでしょう?」  そう吐き捨てると、返答を待つことなくその場から消え去っていく。 「なんだ? あいつ」  神楽の去った後、戦闘態勢を解いた者たちの正直な感想だった。  琥珀だけが、状況を把握できずオドオドする。 「そうですね、夜桜くんも帰ってしまったし……今日はお開きにしましょうか」  仕方ないと言わんばかりに、楓がその場を締め括る。  だが、それ以上の説明は無かった。  ただ、小声で「マイペースな学生ばかりだなぁ」とこぼしながら、西園寺に後を託すべく肩を叩く。 「後は任せるよ。オレはタイムリミットだ」  そう告げると、携帯を確認しその場から転移してしまう。  西園寺は苦笑しながら「承知しました」と返答し、学生を見回した。
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