それを静かに聞く者

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「それで、後は……と言っても、殆んどオリエンテーションは終わってしまいました。解散ってとこで、好きに見回ってもらっても構いませんよ?」  西園寺はやれやれと言わんばかりに、学生を見回す。  一応一通り説明も終わっていたこともあるが、西園寺を筆頭に皆暇ではなかったのも正直なところだった。 「別にこの後は自由にしますので」  出雲が、そう言い礼を告げると、他もそれに倣った。  それ以上に、集団でどうこうが面倒くさいこともあったがそれは顔には出さない。  ポーカーフェイスで、教員たちを見送る。  教員が立ち去った後は、することもない。  丁寧にご辞退した後、予定もなく只々ぶらぶら学園内を歩いてた。  また解散してもよかったのだが、それを誰ともなく提案しようとして、急に琥珀が何かに目を輝かせた。 「そう言えば、さっき生徒が何かしていたよね」 「あぁ、そういえば何かしていたな」  由良と二人でアバウトな会話を繰り広げる。  その会話は結局のところ的を得ない。
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