それを静かに聞く者

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 湊は出雲に「何が言いたいんだ?」と尋ねる。 「さっきの式神召喚でも気になっているんじゃね? 何で気になるのかわかないけど」 「あぁ……あれか」  湊は微かな記憶を辿る。そして、ふと「オレもやってみたら何か出てくるか?」と、疑問を口にした。  直ぐにその質問は不毛だという事に気が付き、押し黙る。  湊に異能が無い事は、周知の事実だった。 「湊くん、やってみたら何か出てくれたりしない?」  琥珀は何気に思ったことを口にした。全員が一斉に琥珀を見る。  その瞳には無言の圧が含まれていたが、琥珀は全く気にしていなかった。 「ねーねー由良、どうなの?」  その話題を今度は由良に振った。  由良は小さく息を吐くと「琥珀、湊には無理だ」と告げる。
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