それを静かに聞く者

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「琥珀、分かっているだろ? 湊は……」 「呼び出してみればよかろう」  由良が断言する前に、何物かが言葉を遮った。  その声の主を探すと、琥珀の影の中から葉月が静に顔を出した。 「葉月、そんなことできるのか?」  その影の淵に覗き込むようにしゃがみ込む出雲。そして核心を尋ねる。  それは異能についての常識を覆してしまう、あってはならない事だった。  それが可能なら、この世に能力者なんて必要ない。  全ての者が超能力と呼ばれるものを行使できるのである。 「おぬしだけで召喚は無理だ。だが、傍で『導く者』が道標を示せば、理論上は可能じゃ」 「いや、理論上と言っても……普通理論上でも無理だよ」  出雲が呆れ口調で反論する。  しかし、その話に右京と左京は興味津々だった。 「本当にできるのか?」 「できたら凄いんじゃね?」  そんなことを言いながら、目を輝かせている。
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