0th week 愛の結晶を孕みながら、わたくしは舞台から降りる。

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0th week 愛の結晶を孕みながら、わたくしは舞台から降りる。

避妊も新婚当初から 気を回してましたのよ。 少し アマネさんには 無条件で 甘える時間が必要だと 思って。 『カレン?これっておめでた。 で、いいのかな。3週だから 巷では 妊娠超初期とかって、 言ったりするけれど、よくわか ったわね?下手したら、まだ 検査薬でも微妙な時期なのに』 次に意識が移ったのは わたくしが妊娠の告知を受けた 日の走馬灯ですの。 『まあ、避妊も100%じゃないから って、そろそろ子供を考えるっ て言ってたのだし?良かったね』 幼学部からの幼馴染みで、 婦人科医をするマユが問診票を 片手に告げた日。 『 って、どうしたの?カレン?』 そもそもマユに隠し事など、 到底出来ませんもの、 わたくしは クラッチバッグから取り出す 電話に 例のキス写真を 表示させてから、 マユの目の前に出します。 『何?アマネさんの浮気写真? でも昔ホストしてたんだから、 今さら気にしてもじゃない?』 マユが言うことは 最もですわ。 わたくし達は、立場上 正妻教育も受けてきてますもの。 住む世界が 違うと、 アマネさんと お付き合いした時には、 兄さま達にも さんざん怒られましたわ。 けれども、 わたくしは そこに写る女を指さして、 ある名前 を告げますの。 『・・・・、スズネなの、、? 整形したの!え、スズネの 母親も?って、何?リンコ、、』 続けざまに、 接待をするアマネさんと 女の姿を 内偵がデータ送信してきたまま マユに見せて、 さらにその 相手の名前を、告げれば マユが狼狽えます。 マユは我が家の事情も 良く知る家族ぐるみの仲ですもの。 『タチバナ・リンコって、 言ったよね?確かカツコおば様 のライバルだったとかの令嬢? 旧華族だっけ?スズネの母親っ てこと?どうなってるのカレン』 元はと言いえば どこの馬の骨女が 彼の写真を送るのやらと、 興味本位で素性を調べれば、 相手は 只の浮気相手どころか 女王蜂でした。 タチバナ・リンコ。 初等部で 初めて迎合した、スズネ母親の 女の目。 かつての恋敵の子供に向ける 侮蔑。嫌悪。嗜虐。 計り知れない暗い女の目。 だから 用意した離婚届を、 マユに見せます。 『本気?確かにスズネは、 厄介な女ではあるよ。中等部で も、表だってわからないように 嫌がらせしてきた女だし。』 始めは、 キスの相手が ヤシロ・スズネだとは わかりませんでしたのよ? だって、 整形なんてしてましたもの あの、働き蜂。 しかも、 その意味は計り知れない。 『今時選民意識の強いやつ だったけど、寝取りで、 マウントゲーム仕掛けてきた なら、離婚は悪手じゃない?』 だから早まるなと、 マユはアドバイスしてくれる。 けれど わたくしは確信したのです。 女王蜂は、 法の届かないやり方で、 壊しにやって来る。 母の代わりに わたくしを見立ててでも。 醜悪な精神的キリングマシーンと なって 愛するモノを根絶やしに来る。 そうマユに答えて、 わたくしは懐妊を内緒にして 欲しいと願ってから マユの診察室を 出たのですわね。 わたくしと、マユだけが 新しい命の存在を知る日のこと。
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