8th weekラブコールシャワー

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8th weekラブコールシャワー

『アザミさん、今日いいの? クリスマスに出勤しないのも どうかと思うけど、その上また クラブ↗️に行くなんて。まあ、 どうせ私達ゼロヘルの保証組 だし、まだイベント強卓な ノルマもないからいいけど、、』 わたくしと同時期に、 臨時ヘルプで入店した アヤミちゃんが、 黒のボブカットを揺らして 周りを見ていますの。 ここは アマネさんに内緒で入り込んだ、 夜の潜入店から、 少し離れたエリアの喫茶店。 わたくしは、 『アザミ』と源氏名がつけられ ました。 この時間でも 同業者や黒服の姿などは 見えない貴重な場所ですわ。 『あ、なら他のお店の子で、 行けそうな子も声かけていい? この間、話したら羨ましいって 言われて。さすがにダメ?』 人のお金で遊べるのですもね。 主人の真疑を問うための 必要経費と思いましょう。 にしても、 大人しい上目遣いで、 わたくしを見てくる アヤミちゃんは、 どこか学院時代の妹年の方達を 思い出しますのよ。 『構いませんわ。賑やかで、 よろしいですもの。どうぞ。』 ここでわたくしは、 吊り上がり気味の目を 弓にして微笑みます。 『やった。あ、ナギサさんは 保証切れたから、クリスマス ノルマやばいか、、うちの店は あたしだけで、他で声かけよ。』 アヤミちゃんは早速 電話を耳に当てて、 他店の子を誘っていますわ。 『うち?ほら男オーナーでしょ? え、特攻?そうなんだ。 ユキさん綺麗だから、係に なっても大丈夫だろうけど、、 じゃあスミレちゃんだけ、 はい、はい、じゃあ、あとで』 アヤミちゃんは、指を1本立てて オッケーのポーズをされます。 どうやらスミレちゃんと あと1人当たるみたいですの。 それこそシャンパンが開けられる クリスマスは 稼ぎ時ですものね。 でも、それは接待も同じ。 今日はアマネさんも、 間違いなく深夜帰りのはず。 だから、 様子を見るには好都合。 内偵からも あの店に アマネさんのアール有りと 報告がございましたから。 この日のわたくしは、 アヤミちゃんとショッピングした ファストファッション店の 花柄ワンピース。 白ワンピースは何故か、 縁起が悪いとアヤミちゃんが 却下でしたの。 とくにファーのバックとの コーディネートは避けるのが 鉄則だそうですよ。 塩を撒かれるそうです。 でも、今更ですわね、、 『いらっしゃいませー!!☆』 『メリークリスマス!よいしょ』 令嬢の嗜みとしては、贔屓にする 内偵と密に連携を取れる 個人弁護士を決めておく事は マストでございますわね。 『メリークリスマス!今日は$ ビンゴにジャンケン大会あるよ』 わたくしの感覚でいうなら、 都心よりも地方、 古い歴史のある地域ほど 未だに内縁の妻や、妾といった 感覚が残っていると感じます。 『アザミちゃん、アヤミちゃん、 ナギサちゃん、クララちゃん! 3卓ご案内~、よいしょ~!$』 ただ、その場所そのものよりも、 周辺県に内偵を生業にする会社が あるのは 面白い事ですわね。 理由は簡単。 『あれー、みんな忙しい日に 来てくれたんだぁ。有り難う。 今日はイベラベシャンだよ!』 少しでも浮気内偵を使っている のを知られない為ですわ。 あら、 アヤミちゃんの大人しめ 上目遣い?ああ、 『どんなのか気になる?じゃ、 シャンパンいれちゃおうか!$』 アイドル系の担当が アヤミちゃんにシャンパンを 落としにきましたか。 仕方ないのですわ、 わたくしは 笑顔でアヤミちゃんに頷きます。 『レディースアンドジェントルメェン~ウェルカムトゥクラブ戀☆』 さてと、 わたくしの使うのは近江に本社を 置く老舗内偵社。 こちらは内偵以外にも、 別れさせ業や、トラップ業も 依頼できる色恋専門内偵社で ございますの。 『素敵な姫さまから、素敵な高級 シャンパンいただきました!』 『メリークリスマス!よいしょ』 お値段は張りますけど、 旦那様の仕事場に張り込み だけでなく、潜入内偵も お願いできます。 けれども、わたくしは 報告を受けるだけでなく、 自分の目で確認をすることに しましたの。 『よいしょー!!!』 さて、オープンと同時に入り、 どんどん来店するゲストを 見てアマネさんを確認します。 『素敵な姫から、 ひとこと聞いてみようかー』 アヤミちゃんが入れた体ですから マイクで姫コメントを していますわね。 あら、いつもなら、 確認しにくいですけど今日は キャストはサンタ帽子。 男性が来れば分かりやすい。 いい感じですわ。 『姫からいただくシャンパン×2*』 『感謝の気持ちでシャンパン×2*』 いつも送られてくる写真は、 お相手とアマネさんのショット。 ならば、 アマネさんがクラブ接待時に、 店にいてる客が嫌がらせ犯人か、 依頼を受けた人物でしょう。 写真の送り主に対峙するべく、 わざわざ ホステスの面接を受けましたの。 『王子が1番♪』 『サイッコーです!』 『今日のこの日は♪』 『 サイコーです!』 ああ、でもこんなに周りに 人がいると、 入り口が見えにくいですわ。 『姫さま、ぼくらのプリンセス🖤』 !!! 一斉に目の前のキャストが 片足を立てて膝ま付きましたわ! 視界が開けたその先、 入り口から入店する主人、 アマネさんともう1人の女性の 姿が、見えました!! 『グラスを掲げろ!♪』 『ソレソレソレソレーー!!』 『飲むぞ!』 『おっしゃ』 『いくぞ!』 『ソレソレソレ』 『カンパーーーーイ!!』 再び立ち上がるキャストの波。 それを視線で掻い潜り、 周りのゲストを見ていきますの。 この独特のコールも慣れましたわ。 ホステス仲間を隠れ蓑に、 ホストクラブにも 入り込んで、探しますの。 『レッゴー姫さま!♪』 『うおーーい』 『レッゴー王子も!♪』 『おおーーい!!!』 クリスマス。 この日の写真をきっと、 送り付けてくるはず。 こちらのお店はダンスホールが 吹き抜けの地下になって、 ぐるりと1階の席が囲っています。 『カッケー王子聞いてみよう♪』 『イエス!』 『あ、さんー!、にー!いち』 だから、下のフロアから上の ゲストを仰ぎ見るしかありません。 写真はきっと、上の席から 下のダンスフロアを撮ったもの。 『盛り上げてくぞ!♪』 『『『よいしょーー!』』』 見回して、それらしい人物は なし。 アマネさんと接待の女性が、 秘書の電話の前でポーズして いるだけ。 『本当に姫さま、素敵な高級 シャンパン×2最高ーです!♪』 『シャンパンシャンパン*』 楽しそうに、女性は天井の シャンデリアを仰ぎますの。 『今宵のコールも最高ーです!』 『シャンパンシャンパン*』 『姫さまスマイル最高ーです!』 『よいしょーーーー!!』 その髪を振り乱して笑う顔を、 地下フロアから見て、 わたくしはその顎に釘付けに なります。 『こーころをこめてー、あざっす でーす。ゞ』『よいしょ!ゞ』 『本当の本当にあざっすです!』 『あざっすでーーすゞ』 シャンデリアで照らされ 仰ぎみた顎にあるホクロ。 下から見た角度のせいで、 タレた目に見える表情。 あれは、 『『『ほーんーとーにー$』』』 『当店一同心を込めて、』 『『『あざっすでーす!ゞ』』』 「タチバナ・リンコ、、」 『『『『よいしょー!!!』』』 『メリークリスマス!よいしょ』 ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ
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