キャバレー ピンクヘルパー

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「姉さん、僕ヘルパーやってみようかな」 「ヘルパーも二級じゃ給料安いぞ、介護そのものが査定低いからな。その割に仕事きついぞ。お前他人のお尻拭けるか。うんこべったりついた年寄りのお尻拭けるか?」 「僕は免許あるから運転業務を希望している」 「お前は運転だけで身体介護はやらないつもりか?そんなことはきれいごとだよ。チームで動くんだからやらざるを得ない。それが出来なきゃホームは採用しないよ。お前みたいな介護ど素人は腐るほどいるんだ。みんなとりあえず生きていく上での保険の資格だよ。勤め先を首になったときの腰掛け的な一時しのぎだよ。でもこれから年寄り増えるからな、給料安いけど仕事は増える」  僕は想像した。寝たきりの年寄りのおむつを取り替える作業。慣れるものなのだろうか。自分の便が指についても汚く感じるのに他人の尻を拭くことが出来るだろうか。やはり運転手希望であちこちを当たった。寮完備で三食付き、手取十六万。好きなビールを止めれば一日に掛かる生活費ゼロ円。マンション確保のために五万は姉に支払う。光熱費は使わないから不要。一年我慢すれば単純計算だが百二十万円貯金出来る。 「場所はどこだ?」 「福島のいわき市」 「お前がヘルパーねえ、まあやるだけやってみな。半年は我慢しろよ」 「ああ、姉さんの記録半年は抜くつもりさ」  ホステスの仕事もあまり順調じゃない様子だった。姉さん曰く、建築業が暇だと夜の商売も連動するらしい。会社勤めも経費が落ちないらしい。人の金ならいくらでも飲む連中だが自分の財布からは出さない。それでよく会社が持つもんだと不思議がっていた。 「それじゃ行って来ます。姉さん飲み過ぎないようにね」      
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