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待っていたもの
なでなで
ああ、気持ちいい。
ぷにぷに
ああ、くすぐったい。
ふふっ
待ってるよ。
早く、早くやってきて。
僕の外側は温かな光で溢れていて。
サワサワと時折感じる優しい感触がとっても気持ち良くて。
このままジッとこの場所に居たくてしょうがないのに。
「待ってるよ」
っていう言葉をかけてくる何かは、僕をどこかに連れていきたくてしょうがない。
もう、そんなに呼ばなくても。
もうすぐそこに行くから。
だから、そう。
もうちょっと待っていてよ。
ね、もうちょっとだから。
直ぐにそこに辿り着くんだから。
今だけ、今だけはさ。
僕の事なんて考えないで。
たくさん遊んでいてよ。
たくさん歌っていてよ。
たくさん笑っていてよ。
僕がそこに行った時に、
もっともっとたくさん遊んで、歌って、笑ってもらうから。
だから、お願い。
僕の事なんて考えないで。
思い出さないで。
今はただ、僕を待っていなくていいからさ。
ねぇ、お母さん。
僕はいつかあなたの元へ行くんだから。
きっと、きっと、確かにあなたの所へ辿り着くんだから。
だから、だからさ。
僕を待っていてもいいけど。
僕だけを待ち続けることはやめておくれよ。
なでなで
ああ、気持ちいいけど煩わしい。
ぷにぷに
ああ、くすぐったいけど、痛痒い。
待ってるよ。
早く、早く、やってきて。
僕をこれ以上待っていなくていいのにな。
やっぱり温かな光は溢れていて。
この場所は暖かくて優しい感触で守られているから。
このまま、そう。
このままこの場所にずっといたいなぁなんて思うんだよ。
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