ただ会いたいと思った

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「本当に宗春さんて源基に似てるわ。娘が父親似の人を選ぶってお勧めしないのにねぇ?」 翌日、今年最後の仕事終わりの緋色をピックアップして、源基の車で二人で荷物を沢山持って病院を訪れた。 エレベーターに乗り込むとポツリと緋色が言い、それに源基が反応した。 「えっ?なんでだよ、何処が?似てないと思うけど、浮気したらみんな似てるとか言うなよ?」 「違うわよ。なぁなぁなとこ?平和主義で周りの空気を読んで合わせちゃうとこ?でも周りが何を言っても最後はちゃんと自分で決めるし、周りが興味の目で見ても侮蔑しても源基は普通だった。いつも普通の眼差しだった。そこも宗春さんは似てる。立夏に何があっても宗春さんは変わらないわ。立夏を好きなままで真っ直ぐに見てくれる。そこだけは褒めてあげる。」 「俺を?」 「そうね。」 緋色が笑うと、源基は緋色の肩に腕を回して抱き寄せた。 「三人目の孫に乾杯しような?今日の夜は!」 「ええ。迷っていたけど、源基のいう事を聞いて母になって良かった。ありがとう、源基。」 「よし!顔を見に行こう!孫と娘の。」 寄り添って二人は陽が落ちた廊下を進んで行った。 「立夏、来たよぉ〜。」 立夏に苦笑を見せてベッドを通過し、緋色は奥にあるベッドの人に挨拶をした。 「ごめんなさい、五月蝿いですよね。娘の子供が初めてで…これお詫びと言いますか、うちの子の好物なので多めに買ってしまいまして良ければ…。」 「ありがとうございます。子供産んでもお腹空くんですよねぇ。」 「ですよね?これ、カロリー半分なので少しは気にせず食べれるかと、卵、大丈夫ですか?」 「はい!わぁ、プリン!嬉しいです。頂きますね。ありがとうございます。」 会釈しながら緋色は戻り、既に源基に渡されて食べている立夏を見た。 「昨日より顔色がいいわ。具合はどう?検査は?午前中にしたのよね?」 「うん、栄養点滴に鉄剤ってすごいね。一日でかなり楽になったよ。」 心配と顔に書いてある、と思うとフッと笑顔を向けて緋色に言うと同時にドアがノックされ、返事をすると宗春が顔を出した。 「宗春くん、赤ちゃん見て来た?」 「いえ、授乳時間を今朝、聞いていたので…立夏が先で、そろそろだよね?」 「うん、もう…10分位かな?お父さん、赤ちゃん来るよ。」 立夏の言葉に源基がソワソワし始める。 「立夏、検査は?」 緋色には赤ちゃんも大事だが立夏の検査結果の方が気になる様だ。
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