幸せは足元から崩れる

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(送別会…3月でそんなシーズンといえば…先週か、飲み会あったな。) そんな風に心の中で多分、そうなんだろうと折り合いを付けた。 二年目が持ち回りの幹事も、体調が悪くて代わる事だってないとはいえないし、ハルさんは昔から人が良くて腰が低くて優しいから…。 (優しいから…お義母さんに何も言えない、優しいのに…私の気持ちには答えない。) ーーバン!! 意味不明なポップアップより、その方がその時は堪えた。 洗濯機の蓋を豪快に閉めて気持ちを吐き出した。 4月になり新入社員が入ったとかでハルさんは忙しくなった。 帰りも遅いし夕食を同僚や新入社員と食べて来るという内容のメールも増えた。 それからは不思議なほどお互いが空気みたいだった。 ーおはよう、おやすみ、いってらっしゃい、いってきますー 会話は普通にある。 同じテレビを見て同じとこで笑う、今までと同じ、何も変わらない。 変わったのはハルさんの中で私は家に居ればいいだけの存在なのかなっ思う気持ちと、ハルさんが元気で働いてくれたらいいのかなって思う私の気持ち。 子供がいなくてもお互いの気持ちがすれ違ってても知らない振りで気付かない振りで。波風立てずに今まで通り…それでいいのかな、そう思う私とそれでいいの?って聞く私がいる事。 多分、ハルさんも似た様な事を考えてる。 時々、確認するみたいに触れて来る。 嫌な時は嫌と拒否して、面倒だなと思う時は流れに任せる。 ハルさんの好きにさせとく。 それでハルさんは安堵した顔をする。 シタら…愛されてると思うのかな? 私の目はハルさんを見ていてもハルさんは頭の上辺りを見てるよね? 私を見てないと思う……というか、目を合わせる事を怖がっている気がする。 (これって…夫婦っていうのかな?) 何かが少しずつ壊れて、少しずつ噛み合わなくなって、擦れて削れて……最後には何も無くなっちゃうんじゃないだろうか、そんな不安を抱き始めていた。 私はどうしたいんだろう。 子供が欲しい? (出来なくても…出来ても最終的にはどちらでもいい。ハルさんと笑顔で暮らしたいだけ。) 散々悩んでその答えを出した。 5月5日、私の誕生日にハルさんが早く帰って来てくれてお祝いをした。 その時に素直な気持ちを話した。
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