(モブ女子松木安子の独白)

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(モブ女子松木安子の独白)

こんにちわ。「わたし」こと読者の皆さんときっと距離が近いモブ女子生徒、松木安子ですっ。 愛されBL研究の第一人者であられる蘭一真教授、そして教授のもう一つの顔、BL作家の皇和葉先生を敬愛してやまないわたしは、先生の講義を受けたいがために、一生懸命勉強してこの大学へ進学しました。 皆さんはご存じないかもだけど、前回の愛する講座もとっても面白かったの。あららぎゼミのタチ先輩方が「愛する実演」をしてくれて、わたしったら最前列でかぶりつきだったわ!ネコ先輩方もとても可愛くって、萌えが止まらず創作の捗ったことといったら! でね、今回の愛され講座も目が離せないの。なぜならリアル愛されBL主人公が生まれそうだからっ。 わたしと同期の男子大学生なんだけどね。彼に向けられる学内のあらゆる愛され視線の数々。愛され才能ってほんとにあるんだ、って深く頷いたわたしだわ。 もちろんわたしが気付くくらいですもの、あららぎ教授がノーチェックなわけないわよね。 共有スペースの自販機の陰から、食堂の観葉植物の隙間から、バスロータリーの警備員さんに紛れて、構内コンビニの店員さんのフリをして……。 あららぎ教授の愛されレーダーが張り巡らされているのをわたしはこの目で見たわ。教授はきっと彼の才能を伸ばしたいのよ。そしてあららぎゼミのエースにするつもりなんだわ。 教授に見出されるなんて、彼は本物の愛されキャラなのね。わたしも教室の後ろの席に陣取って一部始終をきっちり見守るつもり。 わたしも読者の皆さんも、天井や床や観葉植物にモブ配備よ!なんちゃって。 あ、いけない。そろそろ第三回あららぎゼミの講義が始まるわ。次の801は社長&専務×相模恭介よ。ほんと、すめらぎ先生の書かれる愛されBLは何回読んでもてぇてぇだわあ!!ムフフ。 あら?わたしの目の前を走っていくのは、まさしく噂の彼だわ。お友達とギリギリまで喋っていてあららぎゼミに遅刻しそうなのね。 あ、え、大変。準備室から資料の入ったダンボール箱を抱えた2回生の先輩が出てきたわ!あ!キャッ!! どうしよう、彼、倒れてる! 2回生の先輩が心配して声を掛けているわ。彼、ちょっと脳震盪を起こしただけのようね。大丈夫そう。よかった。 あれ?先輩が彼をお姫様だっこして…、ああ、医務室に連れていくのかしら!? ちょっとごめんなさいね、わたしこの状況を見届けなくっちゃ!!
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