第三回 「愛され要素、とは」(1)

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第三回 「愛され要素、とは」(1)

はい、静かに。講義を始める。 卒論研究中の4回生は本日欠講なので、2回生と3回生、フォローを頼む。 どうした?先輩方が連日泊り込みで大変そう?そうだな、3回生の君も来年までには相方を見つけて無事に卒業してもらわないといけない。頑張ろう。 1回生の諸君はこのあららぎゼミにも慣れてきた頃だろうか。今はまだ教材を追うので精一杯だろうが、来年からは実地検証が始まる。各自の視点からBLの奥深さを追求していってもらいたい。 ところで1回生と2回生にひとりずつ欠席者がいるようだが。 何!? 1回生の男子が、資料の入った段ボール箱を抱えた2回生とぶつかって転んだ、だと!? そして、医務室に運ばれた!? 大丈夫なのか?? …、…。 大したことはなく、医務室へはその2回生が連れて行った、と。 ふむ。ちなみに資料の準備をしていた2回生は確かタチの生徒だったな?なるほどなるほど。 ──君達、悪いが少しの間自習をしていてくれたまえ。いや担当教授としては、生徒の様子を把握しておかなければいけないからね。すぐ戻る。 (ざわつく教室。数分後) ──大変失礼した。1回生の彼は怪我もなくすっかり元気のようだ。だが2回生が非常に心配しており、もう少し傍について様子を見ている、との事だった。校医の先生にくれぐれもよろしく頼むと伝えてきたので心配は無い。 うむ。必死に手を握り心配する2回生と、攻めに心配をかけまいと弱弱しくも笑顔を見せる1回生。そして密かに彼の身を案じる男性校医。尊い。尊みが過ぎる。 新刊のネタになる実にいいものを見せてもら…ああ、いやいや。これはこっちの話だ。 はい静かに。 君、呼吸が荒いようだが君も大丈夫かね?ちょっとしんどい?そうか。私もこの仕事に就いて長いが、ここまで語彙力が低下したのは久しぶりだ。BLというのは本当に奥深いものだ。
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