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第三回 「愛され要素、とは」(2)
さて、改めて講義に戻ろう。
本日検証するのは、801本の2例目、「愛され主人公を目指す相模恭介が新入社員として働き始めた会社の社長に見初められる!面接で相模恭介を採用した専務からも迫られて!?」だ。ここでは、愛されるために必要な要素、というものを学んでいきたいと思う。
資料の2ページ目を開いてくれ。
何か可笑しいかね。
前回は身近にいる相手との愛され展開だったが、今回はなんとまさしくスパダリオブスパダリ。40代前半バリバリに仕事のできる社長と、その片腕でこちらもやり手の30代後半専務から愛される相模恭介の話だ。
スパダリについては皆予習済みかね?そう、スーパーダーリンの略だ。スーパー攻め様とスパダリの違いについてはここでは割愛する。
初めての仕事に戸惑い、ドジばかりしてしまう相模恭介に迫る2人のスパダリ。ディスカッションのレポートを見ると、社長と専務とで今回も意見が分かれたようだね。
当然の事だ。同じスパダリでも、社長と専務では相模恭介へのアプローチの仕方が全く違うのだから。
まず社長の方から見ていこう。
社長は先日とても可愛がっていた猫を亡くし意気消沈をしている。が、社員
の手前落ち込む事もできずにストレスを溜め込んでいるようだ。
そこに、新入社員の挨拶で社長室を訪れた相模恭介。愛猫にそっくりの風貌、緊張して手足が一緒に動いてしまう様子、ドアに頭をぶつけるドジっ子さ。相模恭介の可愛らしさに、社長は一目惚れをしてしまうのであった。
そんな事とは露知らず、一生懸命に仕事に励もうとするも努力が裏目に出てしまう相模恭介。コピーを閉じれば逆になる。弁当を発注すれば数を間違える。集計した表の計算を早とちりする。上司や先輩から怒られ給湯室で思わず涙を零す相模恭介に、静かに差し出されたブランドもののハンカチ。
雲の上の存在。初日の挨拶以来声すらも聞いたことがない社長が、給湯室の入り口に立っている。
社長は常に相模恭介の様子を気に掛け、影で応援をしていたのだ。相模恭介はただのドジっ子ではないことを社長は知っていた。一度したミスは二度としない、後始末は自分でつける、誰かのせいにしない。笑顔を絶やさない。
そんな姿を見ていたからこそ、社長は相模恭介の涙にハンカチを差し出さずにはいられなかったのだ。
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