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第一回「愛され、とは」(4)
──おや、このグループはディスカッションが捗っていないようだね?ああ、進行の君はバリタチか。相模恭介の気持ちが掴みにくいと。なるほど。
確かに自分に置き換えられないと真意は理解しづらいかもしれない。だがもし君の彼氏が君に愛されようと相模恭介のように努力していたらどうだろう。誕生日には何を送ろうかとか、今日の喧嘩は僕から謝ろうとか、君のためにいろいろと考えていたとしたら?自分が今まで彼氏にしてもらって嬉しいと感じたその気持ちを、相模恭介の行動心理に反映させてみたらどうだろう。
目が覚めました?それは何よりだ。その意気でグループをまとめてくれたまえ。めざせスーパー攻め様だ。
──こちらのグループは、だいぶディスカッションが進んでいるようだな。なになに?総受けと総愛されは同義ではないかと?ほう、君はだいぶBLを読み込んでいるようだね。感心だ。なに?自宅の本棚には紙の本が500冊、電子2,000冊?アルバイト代はすべて推しに消える?そうだろうな。
君の知識は確かに素晴らしい。BLを掘り下げようとすれば沼はどんどん深くなるものだからな。そういう時こそ原点に立ち返ってみようじゃないか。
総受けと総愛されは似て非なるものだと私は思う。愛の含有量、純度…いろいろな角度から研究してみるのも面白いのではないだろうか。頑張りたまえ。
──君はどうしてこのゼミを受講しようと思ったのかね?ここに来れば女子がたくさんいると聞いた?なるほど。安易に決めた割には先程からなかなか鋭い質問をするね。君はもしかしたら愛されゼミに向いている人材かもしれない。(私の睨んだ通りだ)いや、こちらの話だ気にしないでくれたまえ。
それにしても私の講座はすぐ定員を超過してしまうのだが、よく取得できたね。ほう?先輩が根回ししてくれた。その先輩は男子学生かね?ふむ、なるほど。校務の人も親切だった?ああ窓口の男性職員か。大学バスの運転手に近道を教わったから通学も楽、と。(これはなかなかの逸材だ)ああすまない、こちらの話だ。
よし、ディスカッション終了だ。各グループ活発な意見交換ができたようで何よりだ。進行役の生徒もご苦労だった。ついでで悪いが人数分コピーをしてきてくれ。
次回よりこの801本の内容検証に入る。蘭一真(あららぎ かずま)の愛され講座、第一回はこれにて閉講。質問等あれば研究室まで来るように。
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