蘭（あららぎ）教授の愛され講座

第二回 「カップリング、とは」（１）

はい、静かに。講義を始める。

第一回講義から欠席もなく非常に良い傾向だ。この調子で引き続きボーイミーツボーイを目指していこう。２回生以上の生徒達はあららぎゼミでの研究との両立で大変だとは思うが、引き続きフォローを頼む。

３回生の君は眠そうだな。なに、彼氏が寝かせてくれなかった？君の彼氏は確か大学を卒業して大手航空会社に就職したのではなかったか？逢瀬の時間が足りずに朝までコースだったと。
なるほど、会えない時間が愛され主人公を育てるとは言っても、若い君にはまだ実感が湧かないか。ここで当て馬、というスパイスの登場もあり得るわけだが…、遠慮しておく？そうか。絶好の愛されチャンスなんだが仕方ない。もし必要であれば遠慮なく申し出なさい。

後ろで挙手しているのは１回生の女子生徒だね。わたしはボーイミーツボーイを愛でる側になりたいです？勿論だとも、モブでの参加も大歓迎だ。めくるめくBLの世界を共に探究していこうじゃないか。
おや？先日行われた秋の同人誌即売会のイベントリポートを提出してくれたのは君か。お目当ての作品は購入できたかな？そうか。推し作家さんから無配ペーパーももらえた、と。それは非常に喜ばしいことだ。ここで学んだことをいつか自分のサークルでも活かせるよう精進してくれたまえ。

さて今日は第一回でディスカッションした８０１本の内容検証に入るわけだが、前回までの復習はきちんとできているだろうか。

最前列の君は、初受講にもかかわらずしっかり復習をしてきたようだね。書き込みが素晴らしい。質問？どうぞ、受付けよう。

「CP、×、とはどういう意味か」？

君は前回同様いい質問をするね。さすが私が見込んだ愛され…ごほん。ええ、まさに今日の講義で着目するポイントについて質問が出たので、解説しよう。
資料の１ページ目を開いてくれ。
ざわついているがどうしたのかね？静かにしたまえ。

キャラクター同士の恋愛関係を表す用語としてカップリング、という表現がある。CPと表記されることが多い。これは今後も頻繁に使用される用語なので覚えておくように。補足だが、カップリングの左右が逆になると大きく意味が変わるので注意が必要だ。理由は第一回で説明した通り。

１例目では、相模恭介がアルバイト先の塾の講師に愛される展開、および相模恭介を溺愛している兄に愛される展開、が描かれている。この場合のカップリングが「塾講師×相模恭介」「兄×相模恭介」と表記されることは理解できただろうか？個人的には塾講師×兄というのも書きたかっ…いや、こちらの話だ。

では１０分間の休憩ののち、１例目について検証をはじめよう。

休憩。