第二回 「カップリング、とは」(3)

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第二回 「カップリング、とは」(3)

兄と相模恭介に場面は移る。 兄は相模恭介を溺愛してきた。弟も兄にとても懐いている。母親のいない相模家では兄が家事を一手に引き受けてきたが、高校を卒業してすぐ父親の経営する建設会社に就職した兄に代わり弟も積極的に家計を支えるようになる。そんな弟を頼もしく思う反面、自立していく姿に寂しさを感じている兄の姿が書かれている。 塾講師とは対照的に、一見近寄り難い風貌の兄である。だが内に秘めた弟への想いは家族愛を超えるほどだ。 弟へこんな気持ちを持つなんて、と葛藤を強めていく中、 「気になる人とどう接していいのかわからない」と弟から相談を受けるのである。 その気になる人というのが塾のイケメン講師であると知った兄だが、肉親であるがゆえに気持ちを伝えることができない。このもどかしさに涙した読者も多かったな…ああいや、作者である皇先生がそのように仰っていたのだ(注:蘭教授は自分が皇和葉だとはバレていないと思っている。あららぎゼミの生徒は全員知っている)。 この場面でのポイントは、兄が自分の気持ちを隠しながらも塾講師への対抗心を燃やしていくところだ。だが、相模恭介はそんな兄の気持ちにはまだ気付かない。兄からの愛が家族愛以上のものであるとは、まだ認識できていないのだ。 「気付いてー!」と思わず本に向かって叫んでしまったというコメントも寄せられているな。そう。愛され主人公というのは、時に読者をやきもきさせる展開に導く必要もあるのだ。 さて、ここでどのカップリングを推していくか、という問題が我々に生じてくる。 映画館デートで良い雰囲気になった塾講師×相模恭介、弟を心配して駅まで迎えに来た兄×相模恭介、あるいはどちらも美味しくいただきます。 あららぎゼミ的にはどちらも美味しくいただけるようになってほしいのだが、それは個人の見解なので強制はしない。だが、さまざまな書物を嗜み経験を積み重ねることによって、愛され力が身につくということはぜひ覚えておいてほしい。特にそこの君。 隣にいる3回生のタチ生徒に寄り掛かって居眠りをするとは流石の無自覚愛され力だ。うん。
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