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第二回 「カップリング、とは」(4)
さて、1例目の検証もクライマックスに入る。
映画館デートを終えていい雰囲気になった塾講師と相模恭介だが、塾講師の元彼女というモブキャラが出現し、相模恭介はふたたび悩むことになる。
そんな相模恭介を慰め、俺ならお前だけを一生愛してやれると強く抱き締めたのが兄だった。
この場面に対して「尊い!」と本に向かって叫んだというコメントが寄せられているが、この議事録を書いた生徒はどうも兄×弟推しのようだな。
相模恭介が総愛され主人公になるためには、この難しいクエストをクリアしなければならない。どのグループディスカッションでもこの場面が一番白熱していた。愛されるというのは、一朝一夕で出来るものではないのだということがよく分かってもらえたと思う。
結果、相模恭介はどちらからの求愛も受け入れることになる。相模恭介の愛されスキルは無事双方のハートを掴んだのである。だが兄は未だ塾講師との恋愛を完全に認めたわけではなく、塾講師の方も兄の言いつけを守る相模恭介にやきもきしている。この辺りが総愛されとしては未完成であろう。だが、その未完成な部分が読者の心を惹きつけているのだと私は思う。
愛されスキルの詳細については皆が読み解いた通りだ。どのグループも的確なディスカッションが出来ていた。さすが我があららぎゼミの生徒だ。
1例目の検証はこれで終わる。どうした?納得がいかないようだが。
ぶっちゃけこれは二股ではないか、と?
ははは、君はまだ愛されBLのほんの一例しか見ていないからな。そう感じたのも無理はない。
愛されBLの第一人者、蘭一真が断言しよう。愛され主人公というのは二股三股で数えられるような愛され方はしないのだ。それはひとえに主人公の愛され要素の度合いに尽きる。次回の講義では「愛され要素」について検証していく。
2例目、「愛され主人公を目指す相模恭介が新入社員として働き始めた会社の社長に見初められる!面接で相模恭介を採用した専務からも迫られて!?」
を復習しておくように。蘭一真(あららぎ かずま)の愛され講座、第二回はこれにて閉講。質問等あれば研究室まで来るように。
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