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「まったく…ちゃんと教えといてよね」
ごめんなさいね
言わなくても分かると思ったのよ
「お孫さんが亡くなってるのは聞いてたけど、まさかそんな昔の事だなんて。翼君、子供のまんまじゃない」
可愛いでしょ?私の孫は
「はいはい。で?翼君はもう消える心配ないの?」
そうね
私達は生きてる人に自分の事を忘れられたら消えてしまうみたいだから
翼はまだ大丈夫ね
危なかったようだけど
「でも早く生まれ変わった方がいいんじゃないの?」
それもいいけど
翼は家族が生きてる限り見守っていたいのよ
たぶん
その後で生まれ変わっても遅くはないわ
「なのに、家族に誕生日を忘れられてると誤解して、危うく暴走しかけてた…だから、あなたはそれを止める為に私を翼君に会わせたんだ?」
大正解
あのままじゃ翼が誤解したまま消えてしまいそうだったから
玄関の扉を開いて外に出るように促したの
「そんな面倒な事せず、自分で翼君に教えた方が早かったんじゃない?」
だめよ
私はもうすぐして夫がこちらに来たら一緒に生まれ変わるつもりだもの
もしその時今の私と一緒にいたりしたら
残される翼が寂しい思いをしちゃうでしょう?
だから会わない方がいいのよ
「ふうん。でも、あなたは忘れられる心配はなさそうね。だってお祖父ちゃん、あなたの事大好きって感じだったもの」
あらそう?
ふふ
嬉しいわね
「でもあの赤ちゃんは翼君の妹さんの子供だったのね」
そうよ
里帰り出産したの
あの子にも私の唐揚げを食べさせてあげたかったのだけど…
「翼君、大好きだって。お祖母ちゃんの唐揚げ」
あら、私は翼が大好きよ
その時、ボクは夢を見てたんだ
お祖母ちゃんの唐揚げをたっくさん食べる夢
だからいっぱい元気になったよ
これでボクは明日からも家族を守れるよ
みーんな、大好きだよ!
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