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「私が人間かって?なんでそんなこと訊くの?」
「だって変だと思ったから」
「何が?」
「だってボク、お姉ちゃんのこと知らないよ?なのにそんなに親切にしてくれるのは変だよ。家まで一緒に来てくれるなんて言うしさ。それに…」
「それに?」
「お姉ちゃん、寝間着じゃないの?そんな格好でこんな時間に一人でここにいるなんて、おかしくない?」
お姉ちゃんはボクが話し終わると、唇の端っこをくいっと上げた。
「ふぅん、簡単にいくかと思ったけど、案外賢いのね」
今度はアニメのワルモノみたいにニヤリとしたんだ。
「やっぱり!じゃあお姉ちゃんは、お化…」
「私の事はどうでもいいじゃない。今は翼君の誕生日の方が問題でしょ?」
「でも…ボクを食べたりしない?」
ボクが怖がって訊いたら、またプッて笑われた。
「そんなわけないでしょ。アニメの見過ぎ」
「でも…」
「どうするの?私の協力いる?いらない?」
「い、いるよ!」
「だったらゴチャゴチャ言ってないで、はやく家に案内してよ」
お姉ちゃんは両手を腰に当てて、えらそうな態度で命令した。
ボクはお姉ちゃんがお化けだったらどうしようって、ちょっとだけ怖かったけど、お姉ちゃんに協力してほしかったから、怖いのは我慢することにした。
「お姉ちゃん、本当にボクの家に行くの?パパとママに会う?」
「会わないわよ。翼君が家に入るのを見届けた後帰るわ。で、明日また翼君に会いに来る」
お姉ちゃんは勝手にそう決めて歩き出した。
「あ、お姉ちゃん!ボクの家はそっちじゃないよ!」
「……早く言ってよね」
照れ臭そうに言ったお姉ちゃんは、なんだか面白くて、ボクは、怖いって気持ちがどこかに飛んでいっちゃった。
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