孤独の欠片

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 翌日、僕は村を探索することにした。あまり鱗を探している素振りを見せると顰蹙(ひんしゅく)を買う、のんびりと観光している体でいこう。あの鱗は村人には見せない方がよさそうだ。  それにしても、本当に綺麗な川だ。底の砂利までがくっきりと視認できる。透明な水をさっと何かが横切っていく。銀色に光る魚、あれがこの村の特産品の銀マスだ。  魚を見ていると腹が減ってきた。釣り場を探してみようか。けれど今はよそ者に使用されていい気はしないだろう。大人しく食事処を探す。  村の食事処に入ると、銀マスの塩焼きが運ばれてくる。香ばしい歯触りの皮の中からほっくりとした身が現れた。さっぱりとしているが深みのある淡い旨味が広がる。これならいくらでも入りそうだ。新鮮な魚は臭みもなくてやっぱり美味しい。  ぺろりと平らげ、コップの水を飲み干す。水が綺麗な土地のご飯は最高だ。 「兄ちゃんは観光かい?」  近くの席に座っていた男性に話しかけられる。目の奥に猜疑心を隠しているのが分かる。 「旅の途中で寄りました。ここは水が綺麗でいいところですね」  人に安心感を与える話し方はもう習得済みだ。あるかないかで旅の難易度は大きく変わる。
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