13.  青い炎

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「……なんだよ。……っ、……俺に、触って欲しいんだろ……?」  硬く勃ちあがった春瑠のモノを掴む手を大きくスライドさせながら、唇で(もてあそ)んでいた耳たぶ越しに囁く。 「俺の手だと……、何倍も、興奮……すんじゃねえの? なあ……春瑠」 「…………っフ、……ンン!」  その言葉を聞いて胸に抱きこむ背中がブルッと震え、俺のモノを掴む手にグッと力が入った。  同時に春瑠が熱い息を逃がすように顎を上げ、やや首をそらす。切なく眉を寄せながら閉じた目蓋を飾る睫毛が興奮に震えている。  濡れた舌をのぞかせる唇から時折漏れる喘ぎが、俺の中で燃える炎を激しく(あお)り、全身を熱いマグマのような劣情が駆け巡った。 「なあ、……俺の名前、……っ、呼べよ……」 「あっ……ッ……、あ……、ハッ…、ハッ……」 「なあ、呼べ……って……」 「あっ、……あっ、……タ……ッ」  俺の手をしとどに濡らす猛りは間もなく訪れる限界に備えるようにビクビクと膨らんでいく。もう促さなくても自分から俺のモノを上下にこする春瑠の手の動きもまた、後ろ手で苦しい体勢ながらも掴んでいる熱い塊を限界へと導こうと激しさを増す。 「あ、あ、あっ、……タツ……達……や」 「……ッ……ハッ……、もっと」 「……達也、っ……達也……!」  こちらに体重を預けながらのけ反るようにして名を呼ぶ震える唇が、心の奥を激しく揺さぶった。  俺の屹立を握る掌に重ねていた手を外し、春瑠の顎を下からすくうように持ち上げこちらへと引き寄せる。 「もっと呼べ……ハル…ッ!」 「達也!……ああっ、……達也!……た……、っん……ん」  間近にある薄く開きかけた瞳は濡れるように滲んで、同じように濡れて光るなまめかしい唇が何度目かの名前を呼ぼうとその音の形にほどけた時、顎にかける手に力を込め全て覆うように春瑠の唇を自分のもので塞いだ。  舌を差し入れ、怯えて隠れるように逃げる春瑠のそれを捕らえ絡めるように口腔をなぶった時、 「――っン……ンン…ッッ!」  ビクンと腕の中の細い身体が一度大きく跳ねると、その後何度も小刻みに痙攣し、塞いだ唇も同じように震えた。それと同時に白く濁った液が打ち付けるように放たれ俺の手の中に溜まっていく。    唇を離しあえぎながら、酸素を求めて苦しそうに上下する目の前の喉仏の動きにドクンと鳴った自分の心臓の音が聞こえ、沸き上がる激情を注ぎこむかのように再び激しく唇を重ねながら、俺もまた熱く煮え切ったものを春瑠の手の中に勢いよく吐き出していた。
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