贈り物…。

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贈り物…。

すると、目の前に俺の身体が現れた…。 「おわっ!?」 映像で見たまんまの姿を見て、俺は困惑した。 「じいさん…?これはどう言う…?」 「まぁまぁ、とりあえず説明は後じゃ。」 じいさんは、そう言ってすぐに俺の情けない格好の身体に手をかざした…。 すると、じいさんの手が光り、それと同時に俺の身体の周囲から円を描くように光が現れ、やがて俺の身体を包み込んだ。 「お、おぉ……。」 俺はその光景を目の当たりにし、その光の綺麗さに神秘を感じた…。 (やっぱ…なんやかんや言っても、神様なんだなこのじいさん…。) 俺が呆気に取られながら、そう考えていると、俺の身体を包む光がより一層強く光ってから完全に消えた…。 「ふぅ〜。これで大丈夫じゃろう…。」 「あ、ありがとうございます…。」 (あ、思わず敬語が出てしまった…。) お礼を言うと、じいさんは俺に手をかざして言った。 「さて、君の魂を戻すとするかのぉ。」 (ん?魂…?) すると、再びじいさんの手が光だし、俺を包みこんだ。 (眩しいっ…!!) 「おわっ…!!」 俺はその光に目が眩み、目を閉じると、自分の身体に吸い込まれるような感覚に陥った。 「っ……。」 目を開けると、俺は仰向けになっていた…。 「どうじゃ?身体は何ともないかのぉ?」 俺はその時、自分の魂がクロの身体にに入った事を察した…。 それからすぐに上半身を起こして、身体の感覚を何度も確認した。 「あ、あぁ…。大丈夫みたいだ…。」 そう言ってじいさんの顔を見ると、それに応えるように微笑みながら頷いた。 (手も動くし…足も大丈夫…。そうだ!魔力は……よし、ちゃんと感じる。) 「ありがとう、じいさん…。」 俺は礼を言ってから、ゆっくりと立ち上がった。 「いいんじゃよ、まぁ…もう少し遅かったらわしにもどうしようもなかったがのぉ…。間に合って良かったわい。」 じいさんはそう言って笑った。 「マ、マジか…。」 (そんなにギリギリだったのか…。) 俺は苦笑いを浮かべながら、自分が無事であることにホッとした。 すると、微笑みながら俺に言った。 「それで?クロ君、魔王に転生してからはどうかね?楽しくやれてるかね?」 そう言われた俺は、頭を掻きながら今の胸の内を正直に話した。 「あぁ、それが結構大変でさ……勇者は城に乗り込んで来るし、人間は魔獣のせいで魔族を嫌っているし、仲間と旅に出たら最初の街で冒険者と間違えられて、結局魔物と戦う羽目になるしさ…」 じいさんは、黙ったまま俺の話しを聞いてくれてる…。 「その後はまぁ…結局、冒険者になる事になって…俺が魔王って事がギルドマスターにバレて…」 そこまで言うと、じいさんが俺に言った。 「なるほどのぉ…それでここに来ることになったのじゃな?」 「まぁ、そう言う事だ…。」 そう言って肩を落とすと、じいさんが笑いながら言った。 「君はなかなか面白い道を歩いているようじゃのぉ。じゃが、そんなに落ち込む事もなかろう。君は君が進みたいと思う道を、これからも進んでいけば良いんじゃからのぉ!」 そう言って、じいさんは俺の肩を数回叩いた。 「いてて…。」 (俺の進みたい道を進め…か…。) 俺が痛がるのを見ると、じいさんは慌てて手を引っ込めた。 「あーすまんすまん、ついのぉ…。」 そう言って気まずそうにしているじいさんに俺は笑いながら言った。 (そうだよな…。せっかくの第二の人生なんだから、自由に生きなきゃ勿体ないよな!!) 「あぁ、大丈夫大丈夫!と言うか、ありがとうなじいさん、何だかやる気出て来たよ!」 俺がそう言うと、じいさんは笑顔に戻って言った。 「そ、そうか…?それは良かった…あ、そうじゃ、君を地上に戻す前に、わしから一つ、君に贈り物をやろうかのぉ〜。」 (贈り物?何だろう?) 俺が首を傾げながらじいさんの顔を見ると、じいさんは咳払いを一回してから俺に手をかざした。 すると、優しい光が俺を包み出し、それと同時に、俺の中に魔法の知識が入って来た。 「こ、これは…」 俺は、魔法を理解し、経験として蓄積した…。 すると、俺を包んでいた光は消え、じいさんが笑顔で俺に言った。 「どうかのぉ?気に行って貰えたかのぉ?」 俺は、驚きながらもじいさんに尋ねた。 「気に入ったもなにも、こんな魔法…俺に教えて大丈夫なのか?」 すると、じいさんは笑いながら言った。 「大丈夫じゃよ。君の旅にはいずれ必要になるじゃろうし、それに君のよく知る人物もその魔法を使う事ができるからのぉ〜。」 (俺だけじゃないって事か…。あれ?もしかしてそれって…) 「じいさん!あの人物ってまさか……」 俺がそう言いかけた時、じいさんが言った。 「そろそろ時間じゃのぉ〜。それじゃクロ君、良い人生を送るんじゃぞ〜。」 そう言った後、指をパチンと鳴らし、俺の意識はそこで途絶えたのだった…。
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