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一分でもいいから。
ねえ、スマホじゃなくてぼくを見て。
ミャアミャア、って鳴くことしかぼくにはできないから、そんな冷たい目でぼくを見ないで。
ご主人様は今日はご機嫌だ。
今なら、かまってもらえるかもしれない。
ご主人様の腕にちょいっと触れる。
『は?何すんのよ』
ご主人様は、また冷たい目をしていた。
それからご主人様は家を出た。
ぼくは待ち続けた。
ご主人様は夜になっても帰ってこなかった。
大丈夫かな、ご主人様、怪我してないかな。
不安で不安で仕方ない。
ガチャ。
あ!やっと、ご主人様が帰ってきた。
おかえりなさ…
そう言いかけた瞬間、ご主人様の腕には、小さな子猫が抱き抱えられていた。
ご主人様は、今まで見たことのない笑顔を子猫に向けていた。
嬉しくて思わず飛び出しそうなぼくを待っていた現実は哀しい悲しいものだった。
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