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「どうしても分からないの? 放送をする時はちゃんと笑顔でいなさいよ! アンタたち二人が全校生徒の今週の元気を与える大事な役割を持ってるのよ!」
「放送だけで元気って大袈裟な……」
「大袈裟なんかじゃないわよ! 現にワタシは放送部の楽しそうな放送に元気を貰ってるんだし。ワタシの友達だって、アンタたちの放送を楽しみにしてるんだから!」
「その友達、この一週間にそれしかいいことないのか?」
僕がうっかり発言したことにより、彼女の怒りは更にヒートアップした。まずいと口に手を当てた時には、彼女の凄まじい怒号が僕に降り注いでいた。
「アンタはねぇ! 休み時間にもっと大きい声で他の子と騒いでなかった? 元気があるんだから、放送部でもそれ位の元気でいなさいよっ! えっ、分かってるの!? 元気がなきゃ、放送部は務まらないって、知ってる!?」
長ったらしい話が終わるのは後どれ位時計の針を進めねばなるまいか。彼女の説教よりもそんなことを考えていた。最中、隣に立っていた理亜が傍観者側から話し手の立場に移動する。
「なぁ、ナノカは情真が何故笑顔じゃないって推測できたんだ? そんなことが分かるのは実際に神様か、名探偵か、部室にカメラでも仕掛けた人でないと分からないぞ?」
ニタリと笑うその仕草。
一瞬で理亜が僕を助けるために口を挟んだ訳ではないことが判明した。彼女は単に自分の横やりにどう面白い返しをするか知りたいだけだ。
善意ではなく、好奇心。
それでも僕は理亜に、ナノカを止めてくれてありがとうと感謝するのであった。
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