名探偵こそ、クレーマー

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名探偵こそ、クレーマー

  名探偵と呼ばれるものは古今東西、クレーマーではないだろうか。なんてことを言ったら、ミステリーファンや探偵大好きクラブの人たちに石を投げられそうだけれど、誤解はしないでほしい。よくよく考えてみてくれないか?  推理小説の探偵はほとんどが刑事の捜査に違和感を覚え、異論を唱えている。店の経営方針や店員の態度を変に思い、文句を付けるのと同じだ。そのクレームが最終的に良い結果を引き出すから、探偵は褒められるだけ。店に文句を付けるクレーマーは良い結果があまり目に見えないから、疎まれているだけではないか。  世界最強のクレーマーであれば名探偵と同等のことができると思う。いや、もしかしたら、それ以上に素晴らしい奇跡を起こせるかもしれない。    そんなクレームのプロがいる。  栗色のポニーテールをぶんぶんと振り乱し、猫のような目付きをした少女が今日も悪い人に文句をぶちまけている。「弱いものに対していじめるなんて、くだらなすぎるわ!」とか、「笑顔をしなさい! もっと笑ってなきゃ、お客さんが怖がっちゃうじゃないのっ!」だとか。平然と恐ろしい顔の大人に向かって言ってのける。  名は国立 菜野香(くにたち なのか)。「美少女クレーマー」の異名も持っている、超絶変わった女子高生だ。
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