花火大会に誘われて行ったら、美少女が待っていました

10/10

7人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
「ねえ、相楽さん」 「なに、西嶋くん」 「あのさ、相楽さんて本当に僕の事……」  好きなの? と訊こうとした瞬間。  夜空に大きな花火があがった。  同時に沸きあがる歓声と、身体に響く大きな音。  夜空を見上げると、いくつもの色とりどりの花火が僕の目に飛び込んで来た。  そういえば、今日は花火大会だったっけ。  多くの人が、この花火を目的に来ているのだろう。  神社の境内からでも見られる花火は、迫力があって素敵だった。 「きれい……」 「うん」  思わず見惚れてしまい、言いかけた言葉を忘れてしまった。  それほどの、見事な花火だった。  それまで祭りを楽しんでいた人々も一様に空を見上げてるようで、一切の音が消えた。  聞こえてくるのは花火の大きな音だけだ。  ずっと花火を眺めていると、相楽さんの手が僕の手に触れてきた。  その感触にドキンと心臓が飛び跳ねる。  相楽さんは何も言わず、ギュッと僕の手を握りしめてきた。  その手は柔らかくて、温かくて、小さくて……。  ブルッと身震いするほど心地よかった。  思わず僕もその手をギュッと握り返す。  瞬間、相楽さんが僕に顔を向けた。  僕も相楽さんに顔を向ける。  真っ赤に顔を染めた相楽さんはとっても可愛くて……。  僕はニコッと笑った。  相楽さんも嬉しそうに笑う。  そうして、二人で笑い合いながら花火を見つめた。  パラパラと咲き誇る夜空の花火。  本格的に間近で見るのは初めてだ。  こうして見ると、本当にきれいだ。  来年もこうして彼女と見られたらいいな。  僕はそう思いながら、つないだ手の指と指を絡め合わせた──。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加