花火大会に誘われて行ったら、美少女が待っていました

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 その後もヨーヨー釣りやカタ抜きといった、普段はやれない遊びをやって遊んだ僕らは、ようやく神社の境内にまで差し掛かった。 「あー、楽しかったね西嶋くん!」 「そうだね」  このころになると、不思議と相楽さんに降りそそぐ視線の嵐があまり気にならなくなっていた。  むしろ、この美少女と一緒にいるのは僕なんだという、なんだかちょっと誇らしい気分だった。 「西嶋くん! ほら、目当ての場所が見えてきたよ!」  相楽さんが指をさすと、神社のお守りを売っている建物が見えてきた。  もう多くの客が並んでいる。 「わ、混んでるねえ」  正直、相楽さんに教えてもらうまで地元なのに知らなかった僕。  どんなご利益があるのかさえわかっていない。  しかし並んでいる人たちの会話を聞いていると、どうやら県外から来ている人もいるようで。 「有名なんだね」 「そりゃ有名だよー。だって、このお守りを買ったら結婚できたっていう恋人いっぱいいるもん」 「そうなの?」 「そうなの」 「相楽さんは……」  誰と結ばれたいの? と言おうとして口をつぐんだ。  何を言おうとしてるんだ僕は。 「相楽さんは……なに?」  そんな僕に、彼女は上目づかいで純粋に訊いてくる。  ああ、もう!  訊き方までいちいち可愛いなあ! 「いや……なんでも……」  目をそらすと、相楽さんは「そっか」とつぶやいた。
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