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長蛇の列……というわけではなかったけれど、実際にお守りを買えたのはそれから20分くらいしてからだった。
巫女さんの衣装を着ている女性に、今日しか買えないカップル限定のお守りを注文する。
「はい、どうぞ」
そう言って渡されたのは……。
青とピンクのおそろいのお守りだった。
見た目は普通だ。
柄も地味で、どこがカップル限定なのかわからない。
「こ、これ?」
きょとんとしていると、巫女さんが教えてくれた。
「中に白い紙が入ってますので、お互いの好きな部分を書いて中に入れておいてください」
「す、好きな部分!?」
「そうです。そして、それを交換し合うんです。お互いに、お互いの書いたものを持ち歩く。それがこのお守りなんです」
ちょっと待て。
お互いに、お互いの書いたものを持ち歩く?
そんなもの相手がいなければ成り立たないじゃないか。
あ、だからカップル限定のお守りなのか。
ようやく気づいた僕は、相楽さんに目を向けた。
相楽さんは相楽さんで、何やら顔を赤く染めながら僕を見ている。
だから、その顔やめてくれ!
「え、と……。ごめん相楽さん。僕のもあげるから、誰か気になる人に……」
そう言うと相楽さんは巫女さんからお守りを受け取り、ダッシュで逃げて行った。
おおい、逃げるんかーい!
いきなり駆け出して行った相楽さんにビックリしつつ、僕も追いかける。
背後から
「照れちゃってるのね、かわいい」
というお客さんの声が聞こえてきた。
ごめんなさーい! 僕らそういう関係じゃないですー!
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