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逃げて行った相楽さんを追いかけていくと。
彼女は神社の隅っこの方でお守りの入った袋を抱えながら僕を待っていた。
「ど、どうしたのさ、相楽さん!」
「ごめんね西嶋くん。なんだか急に恥ずかしくなって……」
「はあ、ビックリしたよ。急に逃げ出すんだもん」
「うん、本当にごめん」
申し訳なさそうに謝る相楽さん。
謝る姿も可愛い。
「でも、目的のものは買えたからよかったね」
「うん……。西嶋くん、今日は私のわがままに付き合ってくれて本当にありがとう」
「いや、いいよ。僕も楽しかったし」
相楽さんが実は美少女だったっていう収穫もあったし。
「それで……それでね。このお守り、西嶋くんに書いてもらいたいなあって……」
「へ?」
「私も書いて西嶋くんに渡すから……」
「へ?」
「私、西嶋くんが書いてくれたお守りを持ち歩きたい」
「相楽さん……」
さすがに鈍感な僕でも気が付いた。
相楽さんは顏を真っ赤に染めて、今にも泣き出しそうな顔で、僕にお守りを差し出している。
そうか。
そういうことか。
だから相楽さんは僕をここに誘ったんだ。
「僕で……いいの?」
「うん。西嶋くんが、いい」
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