Episode 14 二人のココロ

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「正直な、今でも俺はお前が明日韓国まで付いてくる事とか、巻き込んでしまった事実に腹をくくれない自分が居る。」 「韓国にお前を連れて足を踏み入れるってのは、日本だけじゃなく韓国側にも俺の大事な女はコイツだって示す行為なワケだよ。ってなれば、死ぬほど愛してる女に普通な生活をさせてやれないワケだ。日本からも韓国からも下手すりゃアメリカや北の一部からもお前の動向を常にチェックされる。」 「今は良くても、いつか❝見られているかもしれない事への恐怖心や疲れ❞がわいてくるかもしれない。」 「そんな普通じゃない状況に巻き込んでしまった事が──簡単にお前に近付いた俺の詰めの甘さが原因なのは百も承知で、だからこそ許せないし受け入れられないし腹をくくれないんだよ」 「……だけど「でもな」 「一つ言える事が有る。確かな事だ」 何か意を決した様に彼は一度強く瞬きをすると、今度こそしっかりと照れ隠しする様子もなく私の顔を見つめてきた。何故かその瞳に吸い込まれてしまい、恥ずかしいはずなのに私が今度は目を離せないでいる。 「今まで一人で、色んな事と戦ってきた。金融面もそうだし、自分のバックボーンとも。親父や兄弟との関係性とも。いくら李が傍に居るとはいえ、常に孤独だった。」 「弱音を吐けなかった。完璧でカリスマ性や圧倒性のある自分でいなければいけねえっていう重圧が頭の片隅にあり続けたんだ、寝てても飯食ってても女を抱いてても」 「──でも、今までで間違いなく一番デケエ事を決めたはずなのに昨日も今日も今この瞬間も全く未来が怖くねえし、寂しくもない。」 「お前を巻き込んでしまった事は本当に申し訳ないと思ってる。今後起こるかもしれない窮屈な世界に対しても、だ。」 「でもな、お前が居てくれて俺は孤独な一人だけの世界からやっと抜けれた気がするんだよ。」 「ありがとう。俺の傍に居てくれて」
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