転機は1本の映画によって

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それから話は進んでいき、先生に失恋したヒロインをタイミングよく慰めてくれる、このストーリーのヒーローが登場する。 彼はヒロインが先生に恋をしていることを知っていながらも、自分の思いを打ち明けた。 『……おれ、おまえのことがすきだ』 『気持ちはありがたいけど、ごめん、むり。先生にフラれたってちゃんとわかってるけど、わたし、まだ先生を諦められな……』 『いい。それでもいい。今はそうでも、どれだけ時間がかかっても、いつかはおれのことがすきだって思ってほしいから』 男でできた傷は、新しい男に癒してもらいなよ。 ヒロインの友達が言ったことを思い出し、彼女はいつすきになるか、そもそもすきになるかも保証できないけど、それでもいいの? と彼に念を押す。 『うん。いいんだ。黒川は何もしないで、ただおれの側にいて笑ってくれたら』 『……わかった。いいよ』 ありがとう。 そう言って、ヒーローの彼がヒロインをやさしく抱きしめる。 主人公の、思い人ではない男子に抱きしめられたことへの緊張感と、他人のやさしさに触れ得られた安心感を表現しているのがすごいって、思わず見入ってしまった。 ストーリーはさらに展開して、ヒロインは最初微妙な顔をしていたけれど、ヒーローの前で笑顔になることがどんどん増えていった。 ある日、学校でヒーローが女子と仲良さげに喋っているところを目撃してしまったヒロイン。そこで感じたものが嫉妬であることや、もうとっくにすきになっていたことを自覚する。 『あぁ、わたし……いつのまにか、先生のことを過去にできてたんだ。ちゃんと、あいつのこと……すきに、なってたんだ……っ』 主人公を演じている女優さんの演技がすごい。 演技って言うのがもったいない。 あまりにも自然すぎて、本当に恋してるみたいだったんだ。
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