始まりはクローゼットの中に

1/3
前へ
/54ページ
次へ

始まりはクローゼットの中に

『オリヴィア、実は、わたしはきみに話していないことがあるんだ』 『ルシアン様……』 『実は、わたしは……』 『ああ、皆まで言わないで。本当は、わかっています。でも、知らないふりをしていたいの。だれにも、お父様にすら祝福されないことなのは重々承知しています。けれど、自分の気持ちに嘘はつけない。だからどうか、何も知らない、無垢な少女が、放浪のあなたに恋をしたのだと、錯覚したままでいさせてください』 『……愛している、オリヴィア』 『っ、わたしも愛しています、ルシアン様』 そう言って、舞台の上のふたりは、キスをしていた。 なんだこれ。 なんだこれなんだこれなんだこれ!! だって、どう見てもこれって、パパとママだよね?!
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加