"子ども"だって恋はするんだよ

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「……あ、こんなところに鷹宮のお父さんいるじゃん」 「ほんとだー。苺和(もか)ちゃんのパパ、いつ見てもかっこいいよね」 6月になって、修学旅行にやってきた。 梅雨真っ只中だけど、この期間中は見事に晴れて雨の予報もない。 これから訪れ見学することになっているアジサイがきれいに咲くので有名な寺院は、わたしの両親が初めてまともなデートに訪れた場所だと聞いた。 わたしのパパがいるというのは、このあたりで撮影した映画の宣伝ポスターが駅から改札付近の掲示板に貼られていたのを見て、同じ班になったクラスの子たち(柴田も一緒)がした反応だった。 「うふふ、ありがとう」 「父親は有名だけど、鷹宮の母さんってどんなひとだったっけ?」 「おとなしくて、でもすごく凛々しいひとかなぁ」 授業参観とか、学校に何度も来てくれているのに、クラスメイトの印象にさえ残らないなんて、あまりにも対照的すぎる。 「苺和ちゃんは、どちらかといえばママに似てるよね」 「うん、自分でもそんな気がする」 「わたしはパパに似てるってよく言われて〜…」 修学旅行ならではの話をせずに道中を歩いていく。 目的地に到着して、案内してくれるひとの説明を聞いたあと、十数分の自由時間。中をふらふらしながらそこに来ていたひとたちを眺めていた。 平日ということもあってか、お参りしてるひとの数はそもそも少なかったけれど、カップルみたいなひとたちばかり。 ーーーうーん、こうして見るぶんには、羨ましいと思うのになぁ。
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