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夜の時間は、漫画やドラマで見るような、夜更かししてすきなひとについて語り合う、というのを行うことになった。
相部屋のクラスの女子7人全員が起きてするというので、わたしもしないわけにはいかなかった。田嶋が一緒の部屋じゃなかったから、安心して話せると思ったというのもある。
4枚ずつで2列にくっつけて敷かれた布団。
部屋の電気を消し、ぼんやり光る灯りだけにして、布団を深くかぶり、うつ伏せで顔だけが出るようにみんなで向かい合う。
「ねぇ、あれからみんなはすきなひと変わってない?」
こういう話がしたいって言い出しっぺの浅倉ゆきちゃんがまず最初にそう言った。
そんな簡単にすきなひとって変わるものなの?
わたしには、まずそこが疑問だった。
「わたしは変わらず柴田のことが……」
「うん、わたしも……」
前から柴田のことがすきって言ってた通称中村のことは覚えてるけど……いつのまに中村と仲がいい佐田まで柴田がすきになってたんだ?
でも、そんなにモテてる柴田は、わたしのことがすきなんだって。
なんかごめん。わたしは心の中でふたりに謝った。
「あれ? 鷹宮も柴田のことすきって言ってなかった?」
中村に突っ込まれる。そういえば、中村には前に話したことがあったかもしれない。
「うーん、なんか、この前の体育のときにコケてた柴田のこと見たら、微妙になっちゃって」
「あぁ、あれか〜。わたしはかわいいって思ったけどなぁ」
「中村は盲目かよ。見てるこっちが恥ずかしくなる感じもあったもんねー。苺和ちゃんの気持ちもわかるわかる」
適当な理由をつけ、佐田が共感してくれたからごまかすことに成功した。案外簡単に騙せるものなんだな。
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