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「かといってそんなすぐにほかにすきなひとできないし、わたしはいまだれもいないや……」
「気にすることないよ。わたしだって、3年のときからずっと光太郎のことすきって思ってたけど、最近はもう諦めようかなって」
わたしを慰めるように言ってきたのは、1年のときから同じクラスの森茉子ちゃん。
彼女が柴田と同じくらい人気の江田光太郎をずっとすきだってことは、本人以外はみんな知ってる、と思う。周囲から見ても、ふたりの仲がいいのは間違いない。
「どうして? そんないきなり」
「いきなりでもないよぉ。臆病だから今の関係壊したくなくて。それにさ、この前3組の子がかわいいとかって光太郎が男子と話してるの聞いちゃったんだよね」
悩んだり、迷ったり。
みんな、おとなみたいに恋してるんだ。
そんなふうにできるみんなが羨ましいよ。
正確な時間はわからないけれど、消灯時間から数時間が経ったあとの見回りで来た先生に起きていることがバレないように寝たふりしたら、みんなそのまま朝まで眠ってしまった。
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