第1話 勘解由小路毒死事件

1/1
前へ
/8ページ
次へ

第1話 勘解由小路毒死事件

元警察庁祓魔課の夢景 勘解由小路殺人事件編 登場人物 勘解由小路降魔(かでのこうじごうま) 被害者 勘解由小路真琴 犯人 勘解由小路石榴、紫、水色 ガヤ 勘解由小路流紫降(るしふる) 傍観者 勘解由小路(ジャスパー) 探偵 事件は、深夜に起きていた。 夜明け前、田園調布の勘解由小路降魔議員の自宅に、目を覚ましたメイドの1人が、キッチンテーブルの横に倒れた主人、勘解由小路降魔(かでのこうじごうま)を発見し、ひっくり返って悲鳴を上げた。 「はぎゃあああああああああ?!ご主人様!ご無事だすか?!」 興奮するとけったいに訛るママさんメイドはそう大声を上げたが、生憎、それで目を覚ます人間はこの家には誰もいなかった。 「ぱ、パパあああああああああああ!まあくうううううううううん!!」 誰も相手にしてくれないので、ママさんメイドは両手をあげて走っていった。 勘解由小路降魔の長男、流紫降(るしふる)が久しぶりに実家に顔を出すと、 「坊っちゃまああああああ!」 「降魔さん降魔さん!嘘だと言ってください!いやあああああああああ!」 「パパあああああああ!びゃああああ!」 「じゃー泣いちゃめえええええ!びゃああああああああああああ!」 「2人共泣いちゃ駄目よ。泣いちゃーーうえええええええん!」 父親が死に、涙にくれる女達という、非常にけったいな光景が広がっていた。 更に、ローター音を轟かせ、庭に政府のヘリが降り立つ光景。おっとり刀で部屋に雪崩れ込む霊防省の職員等、事態はとんでもない状況が起きていたのだった。 流紫降は、携帯で、双子の姉を呼び出していた。 「いいいいよっしゃあああああああ!突撃!隣のバンコちゃんでゲスあああああああ!ぎゃあああああああああああああああ!お助けええええ!」 面白半分で上がり込んだ馬鹿の襟首を、母さんが掴んでいた。 「深い悲しみ。深い怒り。この目を見ろ貴様」 「げええええええええ?!何で?!そしていたああああああああ!旦那あああああ!」 馬鹿。小鳥遊山椒は、倒れ伏した父さんを見つめていた。 「ええええ?有り得るんでゲスか?こういう状況は。まあパッと見毒死でゲスな」 「あああああああ!いやあああああああああ!」 泣き喚く三つ子の妹を抱き締めて、母さんは伏して泣き叫んでいた。 まさか、この馬鹿がな。 霊防省次期長官、今は警察庁祓魔課の先任課長、島原雪次は勘解由小路を見下ろしていた。 「こんなことがあるのか。第1発見者は?」 「ハナちゃんだうちの。今ショックで寝込んでるよ。今日は早番だったんだ。家の施錠確認してたらこいつがこうなってた」 証言したのは、勘解由小路の旧友、銀正男氏だった。 「そうか済まない。それで、騒いでいるのは君達か」 僕の奥さんの真帆ちゃんの父親であるお義父さんは、母さんに視線を向けた。 「心から愛する降魔さんがこんな目に。妻なら悲しみに暮れているだけですが」 「何たること!世にあまねく世界の御稜威、降魔坊っちゃまがこのような変わり果てた姿に!下手人は必ず!必ずこのトキが成敗いたします!」 「じゃーはママがえーんしてたから!パパ起きてええええええええ!」 「むーもおおおおおお!」 「お姉ちゃん達が悲しいと水色も悲しいもん」 女達の証言はこんなものだった。 どうしよう。お義父さんに正男先生まで来てしまった。 国会議員で国家の霊的防衛の中枢にいるのが父さんで。 何とかしなきゃ。このままでは取り返しがつかなくなる。 流紫降が動き出そうとした時、 姪っ子の翡翠ちゃんの泣き声が聞こえた。 「おう。流紫降か」 「碧ちゃん!」 赤ちゃんを抱いた探偵が降臨した。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加