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第1話 勘解由小路毒死事件
元警察庁祓魔課の夢景 勘解由小路殺人事件編
登場人物
勘解由小路降魔 被害者
勘解由小路真琴 犯人
勘解由小路石榴、紫、水色 ガヤ
勘解由小路流紫降 傍観者
勘解由小路碧 探偵
事件は、深夜に起きていた。
夜明け前、田園調布の勘解由小路降魔議員の自宅に、目を覚ましたメイドの1人が、キッチンテーブルの横に倒れた主人、勘解由小路降魔を発見し、ひっくり返って悲鳴を上げた。
「はぎゃあああああああああ?!ご主人様!ご無事だすか?!」
興奮するとけったいに訛るママさんメイドはそう大声を上げたが、生憎、それで目を覚ます人間はこの家には誰もいなかった。
「ぱ、パパあああああああああああ!まあくうううううううううん!!」
誰も相手にしてくれないので、ママさんメイドは両手をあげて走っていった。
勘解由小路降魔の長男、流紫降が久しぶりに実家に顔を出すと、
「坊っちゃまああああああ!」
「降魔さん降魔さん!嘘だと言ってください!いやあああああああああ!」
「パパあああああああ!びゃああああ!」
「じゃー泣いちゃめえええええ!びゃああああああああああああ!」
「2人共泣いちゃ駄目よ。泣いちゃーーうえええええええん!」
父親が死に、涙にくれる女達という、非常にけったいな光景が広がっていた。
更に、ローター音を轟かせ、庭に政府のヘリが降り立つ光景。おっとり刀で部屋に雪崩れ込む霊防省の職員等、事態はとんでもない状況が起きていたのだった。
流紫降は、携帯で、双子の姉を呼び出していた。
「いいいいよっしゃあああああああ!突撃!隣のバンコちゃんでゲスあああああああ!ぎゃあああああああああああああああ!お助けええええ!」
面白半分で上がり込んだ馬鹿の襟首を、母さんが掴んでいた。
「深い悲しみ。深い怒り。この目を見ろ貴様」
「げええええええええ?!何で?!そしていたああああああああ!旦那あああああ!」
馬鹿。小鳥遊山椒は、倒れ伏した父さんを見つめていた。
「ええええ?有り得るんでゲスか?こういう状況は。まあパッと見毒死でゲスな」
「あああああああ!いやあああああああああ!」
泣き喚く三つ子の妹を抱き締めて、母さんは伏して泣き叫んでいた。
まさか、この馬鹿がな。
霊防省次期長官、今は警察庁祓魔課の先任課長、島原雪次は勘解由小路を見下ろしていた。
「こんなことがあるのか。第1発見者は?」
「ハナちゃんだうちの。今ショックで寝込んでるよ。今日は早番だったんだ。家の施錠確認してたらこいつがこうなってた」
証言したのは、勘解由小路の旧友、銀正男氏だった。
「そうか済まない。それで、騒いでいるのは君達か」
僕の奥さんの真帆ちゃんの父親であるお義父さんは、母さんに視線を向けた。
「心から愛する降魔さんがこんな目に。妻なら悲しみに暮れているだけですが」
「何たること!世にあまねく世界の御稜威、降魔坊っちゃまがこのような変わり果てた姿に!下手人は必ず!必ずこのトキが成敗いたします!」
「じゃーはママがえーんしてたから!パパ起きてええええええええ!」
「むーもおおおおおお!」
「お姉ちゃん達が悲しいと水色も悲しいもん」
女達の証言はこんなものだった。
どうしよう。お義父さんに正男先生まで来てしまった。
国会議員で国家の霊的防衛の中枢にいるのが父さんで。
何とかしなきゃ。このままでは取り返しがつかなくなる。
流紫降が動き出そうとした時、
姪っ子の翡翠ちゃんの泣き声が聞こえた。
「おう。流紫降か」
「碧ちゃん!」
赤ちゃんを抱いた探偵が降臨した。
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