三人寄れば文殊の知恵

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 捨てられた花の鉢から見た事のない幼虫や気味の悪い虫がわんさか出てきた。夜中と言う事もあり不気味な暗黒世界を開いてしまったかのような錯覚に襲われる。 「あ、ミミズいた。触れる?ねぇ、誰か触れる?」  にじゅうが二人に聞くも、色よい返事など帰って来る訳もなかった。どうにか針を持った眼鏡が触らない様に針先にミミズを指すとグネグネと動いたまま蠢いていた。 ((うわぁ、キッモ、、、、、))  三人は魚がこれを喰うのかと思うと魚も嫌いになりそうになったが、とにかく此処までやった事でこの釣りをやり遂げたいと言う感情は芽生えていた。  ちなみに動画で使っていたのはアオイソメと言うミミズに似た虫である。海で魚を釣るならば定番中の定番と言っても良いエサであり、釣具屋さんで簡単に買える物であった。(ちなみに咬むので注意) 「よっしゃ!俺が投げるぞ!二人ともちょっと離れてろ」  にじゅうがそう言うと、使った事も無い竿を大きく振りリールの仕組みもよく解っていなかった為、ベール(リールの糸を出したり止めたりするやつ)と呼ばれる部分を開けっ放しにし、海にふわりとミミズは手前に落ちた。
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