三人寄れば文殊の知恵

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「全然飛んでないね。にじゅう腕力女子なんじゃない?」 「ウルセェ!だったらお前やってみろよ」  カイジンの言葉ににじゅうが返しているその時であった。突然、何かを引きづるような音がしたかと思うと”ガンッ!”と突然何かがぶつかった音がした。それと同時に叫んだのは眼鏡だった。 「竿!竿が海に引き寄せられ、、、、、、、、てりゅううう!!」  走って釣り竿を掴んだはいいが、何かに引っ張られるような強い引きが真っ黒な海から沸き起こった。と同時に釣竿を海に落とさないように掴んだ手が震えた。 「早く二人とも何とかして!持ってかれちゃうよ」  何事かと寄って来た二人は釣り竿を掴むと大喜びでにじゅうが魚が来た!と叫び、テレビ等でよく見かける、いわゆる”あおり”と言う動作で釣竿を一気に上に引き上げた。  あおりは通常、針を魚の口に深く喰い込ませるための動作である。大きな魚や、口に針が掛かりにくい魚等に行う事が有効で、この時のにじゅうの判断は正しかった。が、そう何でも上手く行くはずもなかった。 ”パッキィィィィィィィィン!!!”  固いものが割れる音がした。実際、割れたのだったが割れると言う表現をしてしまう程、綺麗に真っ二つになったフロロカーボン素材の竿先は道糸にぶら下がる様に先が折れてしまった。
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