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三人寄れば文殊の知恵
夜の港には停泊したボートが揺れ動き、波の音だけが響き渡る。しかし、この場所だけはここ最近違っていた。
ひと気のないにも関わらず、爆音が突然響き渡ると数人の若者の驚きと興味の声が入り混じっていた。
「にじゅうさん、本当に良いんですか?絶対これは良いバイクだと思うんですが」
そう言った若者の一人。夜出歩く様なタイプには見えない、眼鏡をかけた真面目そうな男が、夜でも目立つ月の色と同じ様な絹のような薄い金髪頭の男に話しかけた。
「まあな、家にあったけど誰も乗って無いから大丈夫だ」
金髪頭の男はそう言うと、まるで自らを誇示するかのようにエンジンをふかすと、身軽に飛び乗りヘルメットも被らずそのまま走り出す。
まるで骨格を露わにしたかのようなバイクは、時折見かけるズーマーと呼ばれるタイプのバイクであった。
夜の港にはもう一人、静寂を遮る訪問者が訪れていたが、二人のやりとりを冷めた眼差しで、ただ少し離れた場所からチラチラと様子を伺うだけであった。
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