peanut butter.

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「……チーズを使ったものがいい」 「チーズ? そうだなぁ……」  オリーブも好きそうだしチーズとオリーブの実をオイルに漬けて軽く食べられる物を作ってみようかと細い背中を抱きしめながら提案すると、昨夜は熱に浮かされたまま爪を立てられた背中をそっと撫でられる。 「……お前が作ってくれるものは何でも美味いから……」  それがいつでも食べられるのは嬉しいとリアムの鍛えている肩に顔を宛てつつ嬉しそうに笑う慶一朗の髪を撫で、頼むからもうあんな心臓に悪い食べ方はしないでくれと再度懇願すると、なるべく約束すると一歩前進した答えが返ってくる。 「……さ、ランチはどうする?」  ピーナツバターとビールはランチと認めないぞと慶一朗の頬にキスをするとくすぐったそうに首を竦めた慶一朗がビーフステーキと答えた為、リアムが自宅の冷蔵庫の中身を思い浮かべる。 「俺の部屋で食べよう」 「じゃあ着替えてくる」  着替えを済ませたらすぐにそちらに行くとリアムの頬に今度は自らキスをした慶一朗は、バスローブをその場で脱ぎ捨てると素っ裸の背中と尻をリアムに披露してしまい、最早何を言えば良いのか分からない顔でリアムが溜息を吐く。 「……ケイ」 「……家から出ないんだ、バスローブ一枚でも良いだろう?」  何も問題はないはずだと普通に考えれば問題があることをさらりと言い放った慶一朗がそれ以上何かを言われる前にベッドルームに駆け込んだかと思うと、外出しても問題がない服装に着替えて戻ってくる。 「……これでいいか?」 「もちろん」  ようやく安堵した顔で立ち上がるリアムの腰に腕を回した慶一朗が甘えるように身を寄せ、腹が減ったとリアムの顔を見上げる。 「ビーフステーキだったな?」 「ああ。ビールとポテトも食いたい」 「分かった」  お前が今口にしたものはすべて家にあるから安心しろと笑って慶一朗にキスをしたリアムは、玄関を出て10歩程の距離だけど離れなければならない現実に少しだけ寂寥感を覚えつつ一足先に自宅に戻り、遅れてやってきた恋人を玄関で出迎えるとさっきのように腰に腕を回させるのだった。
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